「変わり続けること」を、やめなかった先にあるもの|デザイナー・山田 梨乃インタビュー
Member interview
2026.2.18
2022年、新卒でセルインタラクティブに入社した山田梨乃。
多摩美術大学テキスタイルデザイン専攻というバックグラウンドを持ちながら、現在はWebを中心としたデザインを手がけている。
明るく、よく笑い、場の空気を柔らかくする存在。
その一方で、彼女の言葉の奥には「変わらなきゃいけない」と自分に向き合い続けてきた時間がある。
なぜテキスタイルからグラフィックへ?
なぜセルインタラクティブだったのか?
そして今、どんな未来を見ているのか。
4年間の歩みを聞いた。
「楽しい」が、いちばんの才能だった
— まずは、デザイナーを志したきっかけから教えてください。
山田:小さい頃から、とにかく絵を描くのが好きでした。
将来はなんとなく美術系に進むんだろうな、と漠然と思っていて。油絵も彫刻もやりましたし、いろいろ挑戦しました。
— その中で、なぜデザインだったんでしょう。
山田:成績が良かったんです(笑)。
デザインだけは、あまり力まずに良い評価をいただけて。それに何より楽しかったんですよね。
「力まずにできる」し、「やっていて楽しい」し、これしかないなと思いました(笑)。
— 色彩感覚を評価されることが多かったとか。
山田:はい。ありがたいことに、色の組み合わせを褒めてもらうことが多くて。それでテキスタイルデザイン学科に進学しました。
— テキスタイルも楽しかった?
山田:すごく楽しかったです。でも……手先が不器用で(笑)。
裁縫があまり得意じゃなくて、あと、テキスタイルは作業環境の用意も大変だし、コロナ禍でテキスタイル業会が不況だったこともあり。「これを一生の仕事にするのは難しいかも」と思い始めました。
— 好きと向いているは、また違う。
山田:そうなんですよね。でもその頃、美大でいろんな分野に触れる中で、細谷巖さんの作品を見たんです。
— どう感じましたか?
山田:衝撃でした。「美しい」ってこういうことなんだ、と思って。洗練されているのに力強くて。あの瞬間に、「グラフィックの世界に行きたい」と思いました。

思い立ったら、すぐ動く
— そこから行動は早かった?
山田:かなり(笑)。思い立ったら動かないと気が済まないタイプなんです。
広告代理店のインターンにも積極的に参加しました。
— 実際にやってみてどうでした?
山田:楽しかったです。平面デザインの仕事って、こんなにワクワクするんだって思いました。
「あ、私はこっちだ」と、気持ちが固まりました。
— ただ、テキスタイル専攻からの就職活動は大変だったのでは。
山田:正直、かなり苦戦しました。異業種からの挑戦だったので、「なぜ?」と聞かれることも多くて。
ポートフォリオも手探りで、正解が分からない状態でした。
— そんな中で、セルインタラクティブと出会った。
山田:はい。求人サイトでセルディビジョングループの募集を見つけました。
面接で初めて会社を訪れたとき、不思議なくらいしっくりきたんです。
— しっくり?
山田:説明できないんですけど、ここだって思いました。空気感とか、面接官の雰囲気とか。居心地が良かった。内定をいただいたときは、本当に嬉しかったです。「縁があるって、こういうことなんだな」と思いました。
暴れん坊だった子ども時代
— 幼少期はどんな子どもでしたか?
山田:人見知りをしない、かなりの暴れん坊でした(笑)。ごはんを誰よりもたくさん食べる子どもでした。
— 想像できます(笑)。
山田:我慢するのが苦手で、思ったことをそのまま言ってしまうことも多かったと思います。今でいうと、少し多動気味だったのかもしれません(笑)。根本的な部分は、今もあまり変わっていない気がします。
— 今も根本は変わらない?
山田:あまり変わっていないかもしれません。でも、そのままだと周りを傷つけてしまうこともあると、あとで気づきました。

「変わらなきゃ」と初めて本気で思えた日
— 人生のターニングポイントはありますか?
山田:大学3〜4年生の頃ですね。
物心がつくのがちょっと遅かったというか……高校生ぐらいまでは今思うと本当に未熟で、友人に申し訳ないこともたくさんしていました。
— 何かきっかけがあったんですか?
山田:大学3年のときに、仲の良い友人から自分の欠点をはっきり指摘されたことがあって。すごくショックでした。正直しばらく落ち込みました。
— でも、ちゃんと受け止めた。
山田:はい。図星だったんですよね。これまでにも、人が少しずつ離れていった経験があったので、「ああ、やっぱり私のせいだよな」と思って。そのとき初めて、本気で「変わらなきゃ」と思いました。
— 具体的に、どんなことから始めたんですか?
山田:まずは人の話を最後まで聞くこと。感情のままに言葉を出さないこと。当たり前なんですけど、当時の私はできていなかったんです。すぐに完璧にはなれなかったけれど、意識し続けました。
— その友人とは今も?
山田:はい、今も親友です。あのとき言ってくれたこと、本当に感謝しています。
— 社会人になってからも、似た経験はありましたか?
山田:あります(笑)。失礼なことをして先輩に指摘されたこともあります。そのたびに「うわ…やってしまった」と落ち込むんですけど、でも今は、指摘してもらえること自体がありがたいと思えるようになりました。少しずつですが、ちゃんと前に進めている気がします。
「自分の名前で出る仕事」がくれた転機
— 入社後、意識が変わったタイミングはありますか?
山田:2年目です。0から任せてもらう案件が増えて、自分が最初から最後まで関わるようになってからですね。それまでは先輩のサポートが中心で、どこか学生の延長の感覚もあったんですが、「これは仕事なんだ」と実感しました。
— どんな瞬間に、それを感じましたか?
山田:参考サイトに掲載されたり、Xで知らない方から反応をもらったときです。自分の制作物が世の中に届いていると感じて、「自分の仕事が会社や自分の評価につながるんだ」と意識が変わりました。
— 成長を感じた案件はありますか?
山田:SHIROITOの案件です。「モノ自体は映さず、影で世界を表現する」というコンセプトで、かなり抽象的な挑戦でした。難しかったですが、それ以上に楽しかったですね。
— その経験で、考え方も変わりましたか?
山田:はい。それまでは「一人で仕事ができてこそ一人前」だと思っていました。でも、スキルも考え方も違う人たちとつくるからこそ生まれるものがあると実感して。ひとりの強さもあるけれど、チームの強さもある。その両方を知れたことが、大きな転機でした。

↑ SHIROITOのサイト。背景の影は3DCGで表現されている。
「この人と仕事したい」と思ってもらうために
— ファンをつくる案件も多い中で、コミュニケーションで意識していることはありますか?
山田:まだまだ試行錯誤中ですが…まずは「お客さんと同じ言葉を使うこと」です。専門用語に頼らず、相手の語彙やテンポに合わせること。それと、自分が話しすぎず、ちゃんと聞くことを大切にしています。
素敵だなと思ったお客さんの服装や持ち物は、積極的に伝えるようにもしています。そこから会話が広がって、距離が縮まることもあるので。
— 最近、変わった考え方はありますか?
山田:「まずはYESで受け止めてみる」ことですね。一度受け止めて動いてみる。そうすると、思わぬ可能性が広がることが多いんです。
可能であれば夜ごはんをご一緒するようにしています。仕事では出てこない想いや背景を聞ける時間が、関係を深めるヒントがあると思います。
私よりデザインができる人はたくさんいると思っています。だからこそ、「この人と一緒に仕事したい」と思ってもらえる存在でいたい。…とはいえ、まだまだ精進中です(笑)。

↑ お客さんとも誰とでも仲良くなれる山田。移転前のオフィスにて。
全力でふざける、大真面目な20周年
— セルらしいなと感じたエピソードはありますか?
山田:セルディビジョン20周年パーティーですね。
— かなり気合が入っていたとか。
山田:ものすごく(笑)。近くのレストランを貸し切って、招待状はビックリマンシール風。
オープニング映像もとにかくユニークで、お土産のクラフトビールも味からパッケージまでオリジナル制作でした。

↑グループ20周年イベントの写真。
— 社内イベントとは思えない本気度ですね。
山田:本気なんです。でもちゃんと遊んでいる。お客さんに楽しんでもらうために、社員全員が本気で考えて、動いて。「楽しいことを本気でやる会社だな」と思いました。
— 社員旅行も印象的だとか。
山田:しおりをあえて小学生の遠足っぽいデザインにしたり、軽井沢を自転車で爆走したり(笑)。
仕事は真面目。でもちゃんと笑える。そのバランスが好きです。友達にもたまに自慢しています(笑)。

“そつなくできる”のその先へ
— 4年間を振り返って、今どんなフェーズにいると思いますか?
山田:まだまだ未熟ですが、日々の業務はある程度そつなくこなせるようになってきました。
だからこそ、少し焦りもあります。このまま“そこそこ上手くできる人”で止まりたくないなって。それもクライアントワークにおいて大事なスキルだと思うのですが。
— 次のステップは?
山田:作風をもっと昇華させたいです。AIが過去のデータから生み出すものではなく、自分の体験や感情からしか出てこないものをつくりたい。
— そのために、何をしていきたいですか?
山田:自主制作を増やしたいですし、いろんな場所に足を運びたい。人に会って、話して、見て、感じたい。デザインって結局、自分の引き出しの数だと思うので。
変化の途中にいる会社で、変わり続ける
— これから入社する人にとって、セルインタラクティブはどんな環境だと思いますか?
山田:完成された組織に入る、というよりは、一緒に育てていく感覚に近い会社だと思います。変化の途中だからこそ、自分の提案がそのまま形になることもある。決められた仕事をこなす会社ではないので、その分、試行錯誤しますし時間もかかりますが、裁量もありますし、挑戦もさせてもらえます。
— どんな人と働きたいですか?
山田:素直な人。柔軟な人。そして、自分も会社も変えようとアンテナをぐるぐる回し続けられる、好奇心のある人と働きたいです。
— 山田さんにとって、デザインとは?
山田:昔は「楽しいもの」でした。今は、「誰かに届くもの」。
だからこそ、これからも変わり続けたいです。止まらずに、ちゃんと前に進みたい。
その先でしか見えない景色があると思っています。

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